『指輪物語』の指輪は、経済力とか権力とかの象徴という読み方もできると思うんだけど、その指輪をみた人は誰でも、自分のものにしたいと強く願ってしまうわけです。
普段無欲で平和的なホビットたちでさえも飲み込まれそうになる。

損か得か、どっちかなら得したい。本当に?
得をすることで誰かの妬み嫉みを買うくらいなら、そんな得はいらない。
そもそも、損とか得とか、なにを基準に決めているのか。
その基準は、あなたにとって本当に重要なことか。
誰かが決めた、自分とは関係のない基準ではないのか。
ホビットにとって重要なことは、自分たちの住処の住み心地と、食事やお酒のおいしさ、今日のお日和。そういうものを大切に、毎日毎日、代々、暮らしているわけです。
ある日、魔法使いによって危険な旅に巻き込まれるまでは。
ホビットは、指輪の魔力を振り切って世界を守ったけど、それから長い時間指輪の保有者になった生き物は、指輪に固執しすぎて化け物になっちゃう。
指輪を得ることに固執しすぎて、それしか分からなくなって、他の何もかもを失ってしまう。
誰にとって損か、得か。
得を選ぶとこで失うものが何なのか。
これから失うものを、失う前に想像するのはすごい難しいし、失いゆくあいだとか失ってからも、きっとほとんどそのことには無感覚なんだけど。
今日、わたしは、住み心地の良い住処と日々のごはん、お日和を大事にできているか。隣人と仲良く穏やかに暮らせているか。
このことだけには無感覚になりたくないし、生きているすべての人に無感覚になってほしくない。
それが本当の豊かさだと思う。
指輪に惑わされると、それを見失うのはあっというま。豊かでなくなるというのは、指輪を手放すということではなくて、暮らしに無感覚になるということだと思う。
指輪があると豊かになれる気がするけど、指輪を手放さないと、実は豊かさは守れない。
豊かさという言葉を、ここでは幸せと同じような意味で言っています。
